犬の検診

2歳までの子にお勧めの検診

対象:若齢の2歳ぐらいまでの犬

この年齢で知っておかなければいけないのは、先天異常です。遺伝的なものや、未熟故に起こっている異常があります。検診により、より早く対処ができること、また治療可能なもの、将来の症状を軽減できるものについては、早期に手を打つことができます。また、母犬から母子感染特に寄生虫感染をしていることを早期にチェックして、駆虫や治療を始めます。

この検診を受診すると良い理由

生まれ持った異常、いわゆる先天性疾患を見つけ出す事ができます。
母子感染などによる、寄生虫感染、ウイルス感染の有無を知る事ができます。

検査項目

全身の身体検査、血液検査、尿検査、便検査、レントゲン検査、超音波検査

この検査でわかること

全身の身体検査

形態的な異常を見つけます。頭の先から尻尾の先まで、形態的異常を見つけます。頭のてっぺんの骨が閉じていない子(特に小型犬)お臍、鼠径部のヘルニア。そして、男の子なら、停留睾丸、後ろ足は膝蓋骨の脱臼などがわかります。

血液検査

貧血、肝機能、腎機能、その他の異常で病気の状況を見つけ出します。

尿検査

腎機能や膀胱の異常を見つけます。

便検査

寄生虫や特殊な細菌などを検出します。

レントゲン検査

先天的な骨の異常や、短頭種に多い背骨の異常や大型犬で診られる股関節形成不全など、また胸部では先天的な心臓の異常、腹部では臓器の変形が分かります。

超音波検査

腹部臓器をさらに詳しく、形態的に異常がないかを見る事ができます。肝臓の大きさや形、腎臓の大きさや形等です。

飼い主様へのメッセージ

この時期に検査していれば良かったと将来思う病気は沢山あります。例えば、大型犬に多い股関節形成不全は先天的な疾患ですが、Penn HIPという検査では、16週齢からこの病気のリスクの有無の検査が可能です。将来的にリスクが高いと判断された場合には、早期に手術を行う事で将来の症状発現の予防を行う事ができます。

小型犬では、レッグペルテス病という股関節の病気や、膝蓋骨内方脱臼などの病気があり、これらも早期に発見・治療することで将来を良好に過ごす事ができます。心臓血管系の異常では、動脈管開存症や門脈シャントと呼ばれる早期に手術が必要なものがありますので、早めの発見が必要です。

そのため、食欲や元気があっても検診を受けて下さい。避妊手術や去勢手術と一緒にできますので、それらの手術と同時での実施をお勧めします。

飼い主様へのメッセージ

8歳までの子にお勧めの検診

対象:3歳~8歳ぐらいまでの犬

この年齢は、人間に照らし合わせるとおおむね40代~50代です。この時期の疾患は、代謝異常など、生活習慣で起こる病気が多く起こります。肝機能、腎機能、心機能、泌尿器機能などを検査によって観察することで、病気になる前にそれを防ぐ事が可能になります。勿論ならないことが大切ですが、小型犬では、8歳くらいから様々な病気のリスクが増加してきます。例えば、胆嚢炎や膵炎などの疾患は近年増加傾向にあり、血液検査や超音波検査を行う事で早期の発見が可能です。実際にはその兆候は3~4歳で出ている事が多いのです。早くから知っていれば病気にならずにすみます。

この検診を受診すると良い理由

生活習慣やホルモンバランスなど、代謝異常の傾向が見つかることが多くなります。将来的に、病気になりそうな状況が把握できるので、その後の生活で修正したり、治療することで、将来の重病を防ぐ事ができます。

検査項目

全身の身体検査、血液検査、内分泌検査、尿検査、便検査、レントゲン検査、超音波検査、CT検査(頭部およびデンタル)、眼圧、血圧、体脂肪率など

この検査でわかること

全身の身体検査

頭の先から尻尾の先まで、これまでに生活していて起こった変化を見つけます。歯の異常、皮膚のしこり、毛並み、乳腺のしこり、睾丸の異常、腹部臓器の腫瘍などを見つけます。また、聴診により心臓の異常や呼吸器の異常もここで検出します。

血液検査

糖尿病、高脂血症、貧血、肝機能、腎機能、その他の異常で病気の状況を見つけ出します。
尿検査 腎機能や膀胱の異常を見つけます。

便検査

寄生虫や特殊な細菌などを検出します。

レントゲン検査

心不全は早い子では4、5歳で発症します。特にキャバリア、マルチーズなど心不全の起こりやすい犬種は、この検査で見つける事ができます。また、大型犬で多い腹腔内の腫瘍は、やはり早い子で4、5歳で見つかります。

超音波検査

腹部臓器をさらに詳しく、形態的に異常がないかを見る事ができます。肝臓の大きさや形、腎臓の大きさや形等です。勿論、腫瘍自体の発見や、それに伴うリンパ節の腫脹や炎症等を見つけることができます。

心臓エコー検査

心不全の状態やステージを把握して、個々の症例にあった治療のために検査をします。

CT検査

レントゲン検査の3次元検査ですので、通常のレントゲン検査より詳しく見る事ができます。例えば、鼻腔の中、歯の根っこの状態、胸部の異常、腹腔の異常や脂肪の状態など詳しく観察できます。レントゲン検査で異常が見つかった部位の精査にも使用できます。

眼圧

緑内障の兆候を早めに検出する事ができます。特に柴犬、アメリカンコッカースパニールなどは、この検査を定期的にすることはとても大切です。

血圧

高血圧などを検出できます。人間で起こる動脈硬化による血圧上昇は通常はみられませんが、頻度多く測ることで、心臓に異常のある犬、腎臓に異常のある犬は効果的です。

体脂肪率

定期検診で毎回測定しておくと、変化に気付きやすく、生活習慣などを変えることで、将来の病気を予防できます。

飼い主様へのメッセージ

この時期に検査をする目的は、病気の兆候の発見です。病気になる前にその兆候を見つけて、病気にならないようにするというのが目的です。

犬や猫は人間の年齢に換算すると、1年で5~6歳年を取ると言われています。言葉を話せない動物では病気の発見が遅れる事が多く、治療を始める時期はすでに、病気が進行してからというケースが多く見られます。病気の早期発見、早期治療のためにも定期的な検診を受け、動物の健康状態をチェックすることは非常に重要です。

飼い主様へのメッセージ

8歳以上の子にお勧めの定期検診

対象:8歳以上の犬(8歳までの検査に癌検診をプラスしたものです)

8歳を超えると犬猫はとても腫瘍の発生率が高くなります。そのため通常の検査に加えて、腫瘍をしっかりと見つけるための検査を行います。

多くの腫瘍は8歳くらいから発生率が高くなってきます。腫瘍では、いかに早期の段階で発見し、治療を行うかが、今後の経過に大きな影響を与えます。犬で多い腫瘍は、乳腺腫瘍、血管肉腫(脾臓)、肝臓癌、肥満細胞腫などがあり、いずれも全身をくまなく検査することで発見が可能です。また、近年では、動物でも腫瘍マーカーによるスクリーニグ検査が可能となっており、一般身体検査、レントゲン検査、超音波検査と合わせて病気の早期発見に一役を買っています。

この検診を受診すると良い理由

生活習慣で起こる病気を早期に発見する事や、8歳から腫瘍発生率が高くなるので、いわゆる癌検診の役割を果たします。

検査項目

全身の身体検査、細胞診及び病理検査、血液検査、内分泌検査、尿検査、便検査、レントゲン検査、超音波検査、心臓エコー検査、CT検査(頭部およびデンタル)、腫瘍マーカー、眼圧、血圧、体脂肪率など

この検査でわかること

全身の身体検査

頭の先から尻尾の先まで、これまでに生活していて起こった変化を見つけます。8歳までの検診に加え、口の中の腫瘍から、尾の先までの腫瘍などを検出して、細胞検査なども同時に行います。

血液検査

糖尿病、高脂血症、貧血、肝機能、腎機能、その他の異常で病気の状況を見つけ出します。
細胞診及び病理検査 身体検査で見つかったしこりなどは、その場で針を刺して細胞を検査して、必要であれば病理検査を行い腫瘍の種類を特定します。

内分泌検査

甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症が犬では多く観察され、多くは中年期に発症します。

尿検査

腎機能や膀胱の異常を見つけます。尿の潜血等があれば、細胞の検査を行います。

便検査

寄生虫や特殊な細菌などを検出します。

レントゲン検査

心不全の検出は勿論ですが、この年齢からは、胸部は3方向のレントゲン写真を撮ることで、より腫瘍の検出率が上がります。また、大型犬に多い腹腔内の腫瘍は、この検査でも見つかります。

超音波検査

腹部臓器をさらに詳しく、形態的に異常がないかを見る事ができます。肝臓の大きさや形、腎臓の大きさや形等です。勿論腫瘍自体の発見やそれに伴うリンパ節の腫脹や炎症等を見つけることができます。

心臓エコー検査

心不全の状態や、心臓周りの腫瘍を見つけることができます。特に血管肉腫は心臓周りに腫瘍ができます。

CT検査

レントゲン検査の3次元検査ですので、通常のレントゲン検査より詳しく見る事ができます。CT検査により、鼻腔内の病変や、腫瘍の肺への微小転移などの評価を行う事が可能です。特に、鼻腔内の疾患は、レントゲン検査では細かい評価が不可能であり、発見が遅くなってしまうことがあります。鼻腔内病変の症状は、歯槽膿漏からくるのか、腫瘍性疾患からくるのかが判別しにくいものでしたが、CT検査により、より早期の発見・治療が可能となりました。

眼圧

緑内障の兆候を早めに検出する事ができます。特に柴犬、アメリカンコッカースパニールなどは、この検査を定期的にすることはとても大切です。

血圧

高血圧などを検出できます。人間で起こる動脈硬化による血圧上昇は通常はみられませんが、頻度多く測ることで、心臓に異常のある犬、腎臓に異常のある犬は効果的です。

体脂肪率

定期検診で毎回測定しておくと、変化に気付きやすく、生活習慣などを変えることで、将来の病気を予防できます。

飼い主様へのメッセージ

この時期の検査は、主に癌の検出が大きな目的です。同時に、この年齢までの生活習慣や、代謝異常で起こっている疾患を見つけ出します。まずは、検査を受けて、何もないことを確認することが大切です。ここで異常が見つかった場合は、早期に治療に取りかかることで、より低侵襲の治療で治すことができます。

飼い主様へのメッセージ